日本の育成の問題は指導者がフットボールを知らない事!
元スペイン代表、モラルコーチが言うにはU12まではスペイン人の子たちよりも日本人の子たちの方がテクニック的には勝っているらしい。

「それはドリルトレーニングで顕著に現れる。 日本人はドリルトレーニングなど決まった動きや流れがあるトレーニングに対しては非常にうまい。
逆にスペインの子たちはコントロールがズレたりするなど上手ではない。
でもポゼッションのトレーニングになるとそれが逆転する。
スペインの子たちはスペースを見つけてポジショニングを取るのが上手く、また状況を認知し適したプレーの決断が速い。 一方、日本の子たちは状況を認知することが疎かになり ほとんどの選手が『ドリブル』をファーストチョイスとし、そこから他の選択肢を探す。
日本であればそのプレースピードでも打開出来るかもしれないが 世界基準のスペインではその猶予がない。ボールを持てば足ごと狩るくらいの勢いでプレッシングをかけられる。
スペインでは、日本人の子どもたちがドリブルでボールを持つとスペインの子たちやコーチから「速くパスを出せ!」と言われる。その瞬間の状況を把握できていないことによる無駄なドリブルだからだ。
例えば、ボールを密集地帯で奪った瞬間にその場でドリブルを開始してしまう日本の子たち
スペイン人からすれば いち早く密集地帯から安全かつ効率的に攻められるスペースへボールを運びたいと考えるが日本の子たちはドリブルで密集から抜け出そうとする。
面白いのが日本の低学年になるとお団子サッカーと呼ばれる 全員がボールに吸い寄せられるように寄ってくる現象が起るがスペインの場合はしっかり安全なスペースに開き、幅と深さをとる。
日本の場合でも「開け!幅を取れ!」など指導者が叫ぶ事があるが「なぜ開くのか?幅を取るのか?ボールはあそこにあるのに、、、」という風に子どもたちが理解できていないように思う。
逆にスペインの場合は 指導者がピッチを広く使うことの有効性や効率性を分かりやすく伝えている。 近くに寄ることだけがサポートではなく、離れることもサポートになるというのをしっかりと伝える。
スペインの子たちは目立ちたがりやでどんなところにボールがあろうとも声を出してボールを受けようとする。ゲーム形式のトレーニングではより一層、声を出しボールを受けようとする。
逆に日本の子たちはあまり声を出さずウロウロするだけの子たちが多い。 日本なら立っていればボールが回ってくるかもしれないがスペインの場合は『声を出さない=準備が出来ていないから受けれない』という解釈をされてしまう。
また日本の子たちがウロウロとポジショニングを取るのに対してスペインの子たちはしっかりと首を振り、周りを観て判断し素早くポジショニングを取る。
日本の育成年代でよく見るトレーニングと言うと?
・止まった状態での対面パス ・止まってるコーンの間をドリブル ・リフティング
こういった個人や2人組などのトレーニングが多いイメージがある。
これらはテクニックを習得するには良いトレーニングだと思う、だから日本人の子たちはテクニックのレベルが高い選手が多い。
反対にスペインの育成年代でよくするトレーニングというと
・ロンド(ボール回し) ・ポゼッション ・トランジション
こういったトレーニングを多くする。
基本的に複数人で行うメニューだ。 観ることや判断、ポジショニングに身体の向きなど意識することがたくさんある。 そして試合に近いメニューが多い!
試合に近いということは戦術的な部分をたくさん伝えられるという事だ。 なのでスペインの子たちは小さい頃から賢くフットボールができる。
小学生年代までは日本人のテクニックの高さで勝つことが出来るが成長するにつれてスペインの子たちのテクニックも上達する。
そこで大きな差となるのがフットボールの戦術理解度『サッカー脳』だ。 中学生以上になった時にフットボールを知っているかどうかは非常に重要だ。
日本人の良さ×スペインサッカーの良さ=久保建英
育成年代の時に海外サッカーを経験し、尚且つ日本人の良さを持った選手が現れた。
それが日本代表の久保建英選手だ。
日本人特有のアジリティー能力の高さに加えて足元の高いテクニック そしてFCバルセロナのカンテラで叩き込まれた戦術(タクティクス)の部分
そして18歳という若さでもスペインリーグで堂々とプレー出来るメンタリティ ここから更にフィジカルの能力が高まっていけば間違いなく日本で過去最高の選手になるだろう。
では久保建英選手は特例なのかというとそういう訳ではないと考える。
現にスペイン人の指導者たち(レアル・マドリードやアトレティコ・マドリードなど)は 日本に来た際にテクニックにおいて優れている選手が山ほどいるが、戦術的な部分での能力が低い。
今すぐスペインに連れて来れば成功できる!とまで言う。
それだけ日本人の持っているポテンシャルは非常に高いということだ!
子どもたちよりも『指導者』が海外の育成現場を体感するべき
こういった海外の経験を積んで日本に戻ってきた多くの子どもたちは数週間、非常に高いモチベーションと意識でトレーニングを取り組んで帰ってくる。
ただ『大事なのは学んだことを常に意識して継続できるかどうか』だ。
全員が海外で求められた事を日本での普段のトレーニングから求められているかというとそういう訳ではないようだ どれだけ子どもたちがやろうとしても 監督やコーチなど指導者がやらせないコーチングをしてしまえば子どもはやらなくなる。元に戻ってしまう。
私は『日本の指導者』こそ海外の育成現場やフットボールを観て学ぶべきだと思う。
日本人の良さである『テクニック』『アジリティー』『組織力』などを伝えつつスペインのメソッドを知る、戦術的な部分もしっかりと伝えられる 世界基準を知る日本人指導者が今よりも増えれば久保建英のような選手を育成できる可能性が高まる。
そうなれば日本サッカー全体のレベルが上がる。 日本代表がワールドカップを本気で取りに行くためには指導者が変わるのが1番だと私は考える!」